Japanische Klassiker mit Furigana
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まんかんところどころ
満韓ところどころ
Lesen Sie 満韓ところどころ (まんかんところどころ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.601 Zeichen · 148 Bildschirme
一眼に麓まで透かされるのみならず、麓からさき一里余の畠が真直に眉の下に集まって来る。この辺の空気は内地よりも遥に澄んでいるから、遠くのものが、つい鼻の先にあるように鮮である。そのうちで高粱の色が一番多く眼を染めた。
あの先に、小指の頭のような小さい白いものが見えるでしょう、あすこからこっちの方へ向いて対溝を掘出したのですとA君が遠くの方を指さしながら云った。この辺に穴を掘るのは石を割ると一般なのだから一町掘るのだって容易な事ではない。現に外濠から窖道へ通ずる路をつけるときなどは、朝から晩まで一日働いて四十五サンチ掘ったのが一番の手柄であったそうだ。
余は余の立っている高い山の鼻と、遠くの先にある白いものとを見較べて、その中間に横わる距離を胸算用で割り出して見て、軍人の根気の好いのにことごとく敬服した。全体どこまで掘って来たのですかと聞き返すと、ついそこですと洋剣を向けて教えてくれた。何でも九月二日から十月二十日とかまで掘っていたと云うのだから恐るべき忍耐である。その時敵も砲台の方から反対窖道と云うのを掘って来た。日本の兵卒が例のごとく工事をしているとどこかでかんかん石を割る音が聞えたので、敵も暗い中を一寸二寸と近寄って来た事が知れたのだと云う。