Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

「ああ、どうしてそれが」

と咄嗟に度を失ってしまい、ウルリーケの胸が、弛んだ太鼓のように波打ちはじめた。

「ですけど、あのテオバルトが、どうしてシュテッヘなものですか。貴方は、私を淫らな不義者にして、いっそこんな恥辱をうけるのなら、私、この場で死んでしまいたい……」

「それでは、なぜ貴女は、艇長の写真を壁の小孔に当てて、掛けて置いたのです。僕はあの孔一つから、貴女の心の閨を覗き込みましたよ」

と新しい莨に火を点じて、法水は冷酷な追及を始めた。

「先刻お部屋を見たときに、あれが湿板写真――つまり日本に例をとれば、明治初年に流行った硝子写真であることを知りました。

御承知のとおり、硝子写真というものは、下に黒い地を置けばこそ、陽画に見えますが、もし日光なり光線なりを背後に置いた場合、今度は陰画に化けてしまうのです。

その陰陽の転変……つまり、フォン・エッセンの金髪は黒髪に、唇の上や顎の尖りは、そのまま口髭に、あるいは顎髯となって、フォン・エッセンとシュテッヘは、その一瞬の間に移り変ってしまうのです。

ですから、心が冷たく打ち沈んだときに、裏板を引くと、そこにはシュテッヘの顔が明るく輝き出すでしょう。