Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

いっこうに艙蓋の音を聴かなかったにもかかわらず、いつのまに鍵が下ろされたものか、その扉は、押せども引けども開かないのである。

すると、突然艇全体を揺り上げるような激動がおこって、みるみる「鷹の城」は海底に沈みはじめた。

いったん法水は、自分の神経が病的な昂揚状態に入ったかと疑った。が、それは夢ではなかった。彼は、硝子越しに立ちあがる水泡を見ながら、刻々死の底に沈みゆく自分を意識していた。

そして、約二〇米を沈下したと思われた頃、艇は横様に揺らいで航行しはじめた。

眼前の海底では、無数の斧魚が、暗い池のような水の中で光り、またその燐骨が、櫛のような形で透いて見えるのだが、こうして艇長フォン・エッセンの、烟のような手に導かれてゆくうちに、彼はあちこちと自分の死の床を考えるようになった。ところが突然一つの考えが閃いて、彼の心は明るく照し出された。

すると、法水は食器棚の中から、取り出した水を鍵孔に注ぎ込み、その中に、氷と食塩で作った寒剤を加えたが、そうしてややしばらくするうちに、鍵金の外れる音がして扉が開いた。

それは、あの悪鬼の神謀――つまり、水が氷に変る際の、容積の膨脹を利用して、鍵金の尾錠を下から押し上げたからである。