Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
まだ二十二か三くらいでしょう。匂いはないかわりに、清純な線があります。
ところが、方々見歩いてこの町に来たとき、偶然ガンディの示威運動が起ったのでした。町は、兵士の発砲以来、廃墟のようになりました。雨が降る、汗が蒸し暑さに腐るように匂う――、事の起りはそういう晩だったのです。
そうそう、宿は「神主」館でしたよ。そして僕は、そのときヘミングウェー嬢の部屋にいました。外は、ザクザクガチャガチャという音で巡邏が絶えません。しかし僕は、地図を見ながら、南行のスケデュールを組んでいました。と、隣りから、湯のはねる媚めかしい音がする。いま、ミス・ヘミングウェーが御入浴中なのです。
するとそこから、
「パドミーニ、パドミーニや」
とお呼びになる声がします。
尻あがりの、声を聴いただけでも一人娘の、びりびり蟲のつよいところが触れてくる。
しかし、下婢のパドミーニはここには居りません。私は、なんと入浴中のレディにお答えしていいものかと、惑っているうちに、二度目のお声です。
「パドミーニ、パドミーニはいるんじゃないの、そこに。駄目よ、黙って、拗ねていたって、ちゃんと分るんだから……」