Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
前年、ポロの競技中落馬が原因で、その後は、暑さ寒さにつれ、右肩が痛むのです。それでパドミーニと交代に、患部の湿布をかえておりました。甲斐甲斐しく、腕まくりしてギュッとタオルを絞る、すべてが、われながら驚くほどマメだったのです。とその時、通りをザッザッっと、靴音でない一群が通ってゆく。
「アッ、あれ、きっと何だわ」
「なるほど」
「あらッ、私まだなんにも云ってないのに……」
私は、ときどき失敗をやってはぎゅうぎゅうな目に逢わされ、それが久しく外道的な快楽となっているのです。いま私は、右手でタオルを抑えながら、左手は、ミス・ヘミングウェーの莨に灰受けを捧げている。
ああ、いかに場合とはいえブリスコーの生徒が、落ちたにも百面相とはなったものです。
「ああ、そうか」
私は、ポンと手を打つかわりに灰皿を上げて、静かに莨灰を落させる。
「分りましたよ、非常時の馬鹿力というのが、あれほど、お痛みだったのが土民がとおると、瞬間ケロリと忘れてしまう……。いや、気が張っとりますと、感じないのですなア」
「そうかしら」
「処世上、その点には、つどつど考えさせられます」
「じゃ、処生哲学ね」