Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

二、定期風に乗る男

ところが、ちょうどその頃、左枝八郎を送り届けた洲蘆の出島には、陰々と闇にひしめく悲劇の兆しが濃くなっていったのである。

二、定期風に乗る男

その、出島にある猟館には、仏蘭西大使館の司厨長中村銀次郎が住んでいた。と云うよりも、ただ台帳にある、名のみというのを便宜にして、こっそり彼はまた貸しをしているのだった。そしてそこには、三伝の妻お勢が住んでいて、秘かに営んでいる春婦宿になっていた。

そのお勢という女は五十に近く、三伝とともに、永らく欧洲各地を放浪した札付きであるが、三伝の変死当時は上海にいて、しかも多情、その三伝の死も、暗に糸を引いてお勢が三人を踊らせたのではないかと云われている。

大戦当時、伯耳義で独逸兵の輪姦をうけた彼女は、脊髄に変化が起って、歩くのにも異様なガニ股である。しかも、歯がないせいか、顔が奇妙な提灯のような伸縮をして、なんとも云えぬ斑点のような浸染のようなもので埋まっている。

それは、駆黴に使った水銀のせいとも云えるが、またこの顔は、永い醜行と悪行との現われのようにも考えられるのだった。

左枝八郎は、いま枯菅を踏みながらこの猟館へと歩んでゆく。