Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

と云って、左枝は重たそうに口を開いた。額には、はぜた粟粒のような汗が泛んでいる。

「今夜お訪ねをしたわけは、貴女なら僕をお救け下さるだろうと思ったからです」

「な、なにをおっしゃるのです」

この思わぬ言葉に、早苗は、相手の眼のなかを窺うように、覗き込んだ――ひょっとすると、この男は狂人になったのじゃないかしら。

「貴女が、僕をどう思っていらっしゃるか……。僕は、貴女のお父さんを起訴して、絞首台に送りました。しかし後で、その事実が、間違っていることが分りました。貴女はお父さんが、理由のない首を絞められたのを御存知でしょう」

「いいえ、そのことについては、私、少しもお怨みはしておりませんの、何事も、運命ですわ。それに、父の方だって、私の知らない間に、大変悪いことをして……」

「では、僕が控訴したのをお忘れになったのですね。それがあったばかりに、一審の有期刑が、どうなったと思います? もし僕が、お父さんにそのままの服役を許したとしたら、船場四郎太の告白で、殺人の罪が消えてしまったことになるのです。御覧なさい、この手です。この手が、むざとせっかくの機会をり取ってしまったのです」