Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

しかも、より以上奇怪なことは、その男が来るのは冬だけに限られていて、十一月から二月の末までの、一定の季節があるということである。

それで、その男が、どこかの定期的な航路通いではないか――この魔窟には、そういう噂も立てられていた。

しかし読者諸君は、その稲野谷という一人物によって、はじめて本篇に水勢が加わったことを察せられるであろう。誰も顔を見たものがない、しかも、来るのに不思議な季節がある。

「ああ、あの人なら、先刻九時半頃窓越しにちらっと帰る姿を見たわ。たぶん終発の一つ手前あたりで間に合ったんじゃないかしら、アッ姐さん、お女将さんが呼んでるわよ」

それから連れ立って、お女将の部屋に行くと、そこにはお勢と成戸六松が紙のような顔で向き合っていった。

お女将が、なにか云おうとしても、声は歯音に消されて聴えなかった。

「お悦ちゃん、大変なことになってしまったんだよ。本当に、私たちを信用しておくれね。とても、夢でもなけりゃ、信じられない事が起ってしまって……。実はお前さん、先刻成戸さんに、金を取りに行ってもらうと、銀行じゃ、それを四年前にお渡ししてしまったと云うじゃないか。