Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
いつ三伝が来るかと思うと……戸締りなんぞに頼れなくなってしまって……私はここで竦んでいるんだし……成戸は成戸で、今夜はお悦のあの部屋にいるんだしね」
と、その時、左枝の瞬きがふいに止まったかと思うと、側にある、瓦斯の計量器のうえに視線が落ちた。
どこかで細目に開いているとみえ、メートルの針が顫えるような微動を続けている。すると、みるみる間に、左枝は紙のように蒼ざめてしまった。
「女将、これで三番目だ。見給え、この指針の動きが、三伝の呼吸使いなんだからね」
その刹那、この地上における、ありとあらゆる物音が停ったように思われた。彼の言葉どおりだと、いま三伝は、この家の何処かにいなければならぬ。早苗は、恐怖にたまらず男の肩に獅噛みついた。
「じゃ、ど、どこにいるって云うのよ。貴方は三伝が、いったいどこにいるって云うのよ」
「たぶん、成戸がいる、お悦の部屋だと思うがね」
しかしその部屋は、昨夜と同じようにかたく尾錠が下されている。それも、鍵を鍵穴に入れ放したとみえて、合鍵では、尾錠が揺ごうともしない。金具が、仄かな暖もりをたたえ、瓦斯の燃える音が囁きのように聴える。