Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

ところがその時、生れてはじめて海戦というものを目撃した――そのわれわれに、誰が、一週間後になって非運が訪れようと信じられたでしょうか。

それは、忘れもしない六月二日の朝、濃霧の霽れ間に、日本国駆逐艦の艦影を望見したので、ともかく、衝角だけは免れようと、急速な潜水をはじめたのです。

ところが、そうして潜って二、三十米のあたりに、どうしたことか、ふいに艇体に激烈な衝撃をうけました。それなり艇体を、四十五度も傾けたまま動けなくなってしまったのです。そのはずみに、機関室からは有毒のクローリン瓦斯が発生して、艇長を除く以外の乗組員は、ことごとくその場で斃れてしまいました。

そうして五人の生存者には、その時から悲惨な海底牢獄の生活が始まって、刻々と、死に向い暗黒にむかって歩みはじめたのです。

しかし、万が一の希望を繋いでいたとはいえ、あの夢魔のように襲いかかってくる自殺したい衝動と、どんなに……闘うのが困難だったことか。ところが、その日の夜半、突然艇長の急死が吾々を驚かしたのです。

艇長は士官室の寝台の上で、左手をダラリと垂れたまま、脈も失せ氷のように冷たくなって横たわっておりました。