Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

なに、私が死体を動かしたのではないかって。ああほんとうに、位置が変っているのですか……ほんとうに死体が……」

と犬射の顔色はみるみる蒼白に変っていって、なにか心中の幻が、具象化されたのではないかと思われた。

その流血は、ほんの一、二分前から始まったらしく、硝子の上を斜めの糸がすういと引いているにすぎなかった。けれども、死体の位置が異ったという事は、以前の流血の跡に対照すると、そこに判然たるものが印されているのだった。

最初仰向けだったものを俯向けたために、出血が着衣の裾を伝わって、身体なりに流れたからである。しかも傷口には、厚い血栓がこびりついていて、とうてい屍体の向きを変えたくらいで、破壊されるものではなかったし、また、気動一つ看過さないという盲人の感覚をくぐって、知られず、この室に侵入するという事も不可能に違いないのだった。

してみると、死体を動かしたのは当の犬射復六か、それとも――となると、再びそこに「鷹の城」遭難の夜が想起されてくるのだ。

「慄っとするね。十時間もたった屍体から、血が流れるなんて……。だが法水君、結局犯人の意志が、あれに示されているのではないだろうかね」