Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
何より怖ろしいのは、僕らの方で心気症的な壁……それを心理的に築き上げてしまうことなんだよ。現にこの卍の形がそうなんだが、いつぞやの黒死館で、クリヴォフの死体の上に何があったと思うね。
あの時、それが手の形をして、壇上の右手を指差していた。なるほど、それには犯人の伸子がいたにはちがいないが、しかし理論的に、なんといって証明するものではない。
こんなつまらん小細工に引っかかって、心の法則というやつを作られては堪らんからね」
けれども、その卍の形は、絶えず嘲るかのごとくびくびく蠢いていて、舷側で波が砕け散るときには薄紅く透いて見え、また、その泡が消え去るまでの間は、四つの手が、薄気味悪く蠕動していて、それには海盤車の化物とでも思われるような生気があった。
しかし、法水は振り向きもせず、奥の室の扉を開けた。
その室には、前部の発射装置がそっくりそのままになっていて、その複雑な機械の影は、市街の夜景ででもあるように錯覚を起してくる。
その前で、朝枝は茫んやりと、一つの鉢を瞶めていた。
その鉢は一本の紅いアマリリスだったが、そうしている朝枝を一瞥したとき、なにかしら透き通ったような人間ばなれのしたものを法水は感じた。