Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

「こんなことで、議論をするのは、止めようじゃありませんか。ただ僕は、ジーグフリードが殺されて……しかも、血栓を破って、屍体から血が吹きでてきた……」

と云いかけたとき思いがけない声が、朝枝から発せられた。それは、彼女の全身に、突然狂気めいた力が漲ったかのように、その蒼ざめた顔が一筋二筋光ってみえた。

「叔父さま、まったく犬射さんのおっしゃるとおりなんですわ。ジーグフリードは、けっして父さんではございません。これはミーメ(ジーグフリードを養育した矮人の刀剣工。ジーグフリードを殺さんとしたが、かえって殺さる)なんですわ。ジーグフリードを殺そうとして、殺された……」

「ミーメ……」

と口誦んで、法水はその一場の心理劇を、噛みしめるように玩味していたが、やがて、意味ありげな言葉を犬射に云った。

「そうです。まさに、あの殺人鬼の幻想的な遊戯なんですよ。しかし、これに海人藻芥(犬射の雅号)という署名はないにしても、いずれは、誰かの雅号となって、現われずにはいますまい」

最後の応酬がちょっと気色ばんで、険悪だっただけで、艇内におけるいっさいが事なく終ってしまった。

艙蓋の上には、すでに黄昏近い沈んだ光が漂っていて、時刻は五時を過ぎていた。