Japanische Klassiker mit Furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lesen Sie 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.395 Zeichen · 263 Bildschirme
清冽な美しさもあって、なにか心の中に、人知れぬ熾烈な、狂的な情熱でも秘めているような気もして、おりよくその願望が発現するときには、たちまちその氷の肉体からは、五彩の陽炎が放たれ、その刹那、清高な詩の雰囲気がふりまかれそうな観も否めないのだった。
しかし、ウルリーケのすらっとした喪服姿が、おりからの潮風に煽られて、髪も裾も、たてがみのように靡いているところは、どうして、戦女とでも云いたげな雄々しさであった。
空は水平線の上に、幾筋かの土堤のような雲を並べ、そのあたりに、色が戯れるかのごとく変化していった。彼女はしばらく黙祷を凝らしていたが、やがて、波間に沈んだ声を投げた。
その言葉はかずかずの謎を包んで神秘の影を投げ、しばらくはこの岬が、白い大きな妖しげな眼の凝視の下にあるかのようであった。
「いつかの日、私はテオバルト・フォン・エッセンという一人の男を知っておりました。その男は、墺太利海軍の守護神、マリア・テレジヤ騎士団の精華と謳われたのですが、また海そのものでもあったのですわ。
ああ貴方! あの日に、貴方という竪琴の絃が切れてからというものは……それからというもの……私は破壊され荒され尽して、ただ残滓と涙ばっかりになった空虚な身体を、いま何処で過ごしているとお思いになりまして。