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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうねん

潤一郎ラビリンスI――初期短編集

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme

Aozora Bunko

ふと、こう云う声がしてうしろから駈けて来た者がある。其れは同じ有馬学校の一二年上の生徒で、名前こそ知らないが、毎日のように年下の子供をいじめて居る名代の餓鬼大将だから顔はよく覚えて居た。どうして此奴がこんな処へやって来たのだろうと、訝りながら黙って様子を見て居ると、其の子は信一に仙吉々々と呼び捨てにされながら、坊ちゃん/\と御機嫌を取って居る。後で聞いて見れば塙の家の馬丁の子であったが、其の時私は、猛獣遣いのチャリネの美人を見るような眼で、信一を見ない訳には行かなかった。

「そんなら三人で泥坊ごっこしよう。あたしと栄ちゃんがお巡査になるから、お前は泥坊におなんな」

「なってもいゝけれど、此の間見たいに非道い乱暴をしっこなしですよ。坊ちゃんは縄で縛ったり、鼻糞をくッつけたりするんだもの」

此の問答をきいて、私は愈※(二の字点、1-2-22)驚いたが、可愛らしい女のような信一が、荒くれた熊のような仙吉をふん縛って苦しめて居る光景を、どう考えて見ても実際に想像することが出来なかった。

やがて信一と私は巡査になって、沼の周囲や木立の間を縫いながら盗賊の仙吉を追い廻したが、此方は二人でも先方は年上だけに中々捕まらない。