Japanische Klassiker mit Furigana
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らどうせんせい
潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme
記者が覗いている生垣の前を通ったのはほんの僅かな間だったから、勿論よくは分らなかったが、しかし女中が、今頃起きて歯を研くのはどうも可笑しい。それに勝手口が向うにあるのに、寝間着であの部屋へ這入ると云うのがちょっと奇妙だ。するとあの小女は何か知らん? 「女中は二人」と云ったから其のうちの一人? 小間使い? そう、まあ小間使いと云う柄だけれど、体のこなしに伸び/\とした、奉公人臭くないところもあって、顔色が少し青白かった。では先生の「何か」か知らん? いやそれにしては子供過ぎる、どう見てもまだ十五六だ。………
けれども、記者の好奇心は、矢張それだけでは済まされなかった。で、もう裏庭に誰も居ないのを幸いに、そっと垣根に附いている木戸をくゞり、そこに生えていた八つ手の葉蔭に身を隠しながら、問題の部屋の窓の下まで這って行って、こっそり首だけ出して見ると、好い塩梅に二枚のカアテンが、まん中でよじれて微かに割れている。その割れ目へ片眼を附けて中を窺うと、果してその部屋は書斎であった。一方の隅に石炭が赤く燃えているストーヴがある。壁一面に、天井へとゞくくらいな書棚があって、本がぎっしり詰まっている。