Japanische Klassiker mit Furigana
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らどうせんせい
潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme
「朝は遅い。」
「はあ、―――では何時頃? 十一時? 十二時頃?」
「うん、」
「はあ、はあ、」
と、記者は手帳へ書き留めながら、
「それでは自然、夜分おそく迄お眼覚めでございましょうな。」
「夜は遅い。」
「はあ、何時頃?」
「三時頃。」
「はあ、三時頃。―――しかし、大学の方へお出かけになる日は、朝もいくらかお早いのではございませんか。」
「う、………あゝ、………なあに、そんなでもない。」
「そういたしますと、先生の講義はいつも午後なのでございましょうか。………はゝあ、いつでも午後に。………それで、大学の方は一週に何度ぐらい?」
「二度。」
「はゝあ、それは何曜日と何曜日に?………はあ、水曜と金曜。………で、その外の日は、日課としては主にどう云うような事を? 矢張書斎で読書をなさいます時が一番多いのでございましょうな。」
「うん、まあ、そんなような事が、………」
「書物はどう云う種類のものを? 矢張専門の、哲学の方の物ばかりを?」
「う、………あゝ、」
先生の「う、………あゝ」に釣り込まれて、此処まで暖簾と腕押しをしてしまった記者は、此の時急に気が付いて、
「あ、そう/\、」
と、慌てゝ云った。