Japanische Klassiker mit Furigana
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme
彼は上人に顔を見られるのが恐ろしかった。
けれども、未だに「御佛の冥護」を信じて居る瑠璃光は、千手丸のような無分別な行動を取ろうとはしなかった。彼は或る時上人の前に畏まって、こんな事を云った。
「上人さま、どうぞわたくしの愚かさを憐んで下さいまし。今ではわたくしも、千手どのを嘲笑うことが出来ない人間になりました。どうぞ私に、煩悩の炎を鎮める道を、女人の幻を打ち消す方法を、授けて下さいまし。解脱の門に這入る為めには、どんなに辛い修行でも厭わぬ覚悟でございます。」
「お前は其れを、よくわしに懺悔してくれた。見上げた心がけだ。感心な稚児だ。」
と、上人が云った。
「そう云う邪念が萌した時には、偏えに御佛の御慈悲にお縋り申すより仕方がない。此れから二十一日の間、毎日怠らず水垢離を取って、法華堂に参籠するがよい。そうすればきっと御利益に与って、忌まわしい幻を打ち拂うことが出来るだろう。」
こう上人が教えてくれた。
ちょうど其の明くる日から二十一日目の、満願の夜であった。瑠璃光が堂内の柱に靠れながら、連日の疲労の結果とろ/\と居睡りをして居ると、夢の中に気高い老人の姿が現れて、頻りに彼の名を呼んで居るらしかった。