Japanische Klassiker mit Furigana
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme
己は、自分の頭の中に、斯う云う信仰がいつの間にか形作られて居たことを発見した。己の云い草が、小僧としては如何にもえら過ぎるから、多分生かじりの哲学の受け売りをして居るのだろうと、疑がう人があるかも知れないが、そんな訳では決してない。己が哲学の本を読むようになったのは、ズット後の事で、此の信仰は全く自分の直覚に依って得たものなのだ。
そこでもう少し、己は自分の直覚した事を説明して見る。―――一体、自然派の文学者は、経験だの真理だのをいやに重大視して居ながら、「美」と云う事に就いては一言も費して居ない。要するに、彼等と己との意見の相違は、藝術の目的が、「真」にあるか「美」にあるかと云う点だろうと思う。己は彼等に議論を吹きかけて、へこましてやるだけの素養のないのが残念だけれど、少くとも彼等の所謂「真」なるものが、科学的の真理にもせよ倫理上の真理にもせよ、極めてアヤフヤな、不安定な性質のものである事はたしかである。人間の智慧で拵えた、若しくは発見した真理なんかに、永遠の生命があろう筈はない。「真理」なんて云うものは、「約束」に毛の生えたもので、或る一時代の人間社会や自然現象を、支配し、若しくは支配するように見える、間に合わせの規則に過ぎない。