Japanische Klassiker mit Furigana
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こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.989 Zeichen · 144 Bildschirme
/\お前の事までも面倒を見て居る暇がない。其処はお前も辛いだろうけれど我慢をしてくれなければ困る。お父さんはお前がよもや、人の物を盗むような悪い子だとは思いたくないのだが、人間には出来心と云う事もあるから、もと/\そんな料簡ではないにしろ、何かの弾みでさもしい根性を起さないとも限らない。若しそうだったら今度一遍だけは堪忍して上げるから、正直なことを云いなさい。そうして此れから、二度と再びそう云う真似はいたしませんと、よくおばあさんにお詫びをしなさい。よう啓太郎! なぜ黙って居る?」
「………だってお父さん、………だって僕は、………人のお金なんか盗んだんじゃないんだってば、………」
すると啓太郎は、こう云って又しく/\と泣き始めた。
「お前はしかし、此の間の色鉛筆だの、お菓子だの、その扇子だのをみんな買ったんだって云うじゃないか。其のお金は一体何処から出たのだ。それを云わなければ分らないじゃないか。そういつ迄もお父さんは優しくしては居られないよ。強情を張ると、しまいには痛い目を見なければならないよ。いゝかね啓太郎!」
その時俄かに、啓太郎は声を挙げてわあッと泣き出した。