Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme

Aozora Bunko

三

私は急いで柱時計を見上げた。時計の針は、ちょうど二時を指していた。その私の耳に、急に時計の音が鳴り響いてきた。

享年四十六であった。

三

妻が亡くなったという電報を見て、駆けつけて来た荏田の栄子(妻の異父妹)が、いきなりこんな話をした。

妻の実母が、夜半、私と妻が訪ねて来た夢を見たのである。その夢の中で、私は普通に挨拶しているのに、妻はつくねんと立ったまま挨拶一つしようともしないのである。

「変な、おとくさんだよ」

実母は夢の中でそう思いながら、目が覚めた。が、あたりはまだ真暗く、実母は妙に心にかかりながら、うつうつと浅い眠りに落ちていた。

「おとくさんに、なにか変ったことがなければいいが。夜が明けて、ほんとにほっとしたよね」

実母は家人の一人一人に、その夢の話を繰り返しては、そう言い足していたという。そこへ同時に妻の危篤と死亡の電報が届いたのである。

「道理で、おとくさんが挨拶しなさらなかったはずだよ」

妻の息絶えたのは午前二時、すると、実母の夢枕に立ったのは、ちょうどその頃のことかと思われた。

「しかしおとくさんは幸せ者だったよ。死んでからも、夫婦一緒なんだものね」