Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme

Aozora Bunko

赤や、鴇色や、模様のあるのや、色とりどりの腰巻が確かに五六枚は干してある。娘が多いのかも知れぬ。が、私は少なからず辟易する。

「さあさあ、お茶いれまっさかい、一服しとくれやす」

私が田舎風に菓子箱など持参したためか、至って愛想がよい。

「新村はんて、江州の新村はんどすか」

「そうですが」

「ほんなとこのおぼんはんに下宿してもろうて、ほんまに光栄や思いまっせ」

私はすっかり当惑顔で外に出る。

「新村、惚れられるぞ」と、いきなりその友人が言う。

「娘がいるらしいね」

「うん、娘だけじゃない。あのおかみだって、嫌な感じだったじゃないか」

私は気味悪くなる。そう言えば、狭い露地に干してあった腰巻の色にも、私は何か不吉なものを感じた。女に対して、そんな感情を抱いた最初の経験である。勿論、私はその素人下宿は破談にした。そうして今まで気の進まなかった、父の店の旧番頭の貸家を借りることに決める。

その私の仮寓は三条大宮を東へ入ったところにある。京の三条通も堀川を西へ渡ると、あのしっとりと落着いた気品は失われる。小さい小売屋が軒を並べ、客を呼ぶ声もかまびすしく、かなり猥雑な街になる。