Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼくとうきだん
濹東綺譚
永井 荷風
Lesen Sie 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.666 Zeichen · 114 Bildschirme
其代り子供の戸籍については主家では全然与り知らない。又光子が他へ嫁する場合には相当の持参金を贈ると云うような事であった。
光子は執事遠藤の家へ引取られ男の児を産んで六十日たつか経たぬ中やはり遠藤の媒介で中学校の英語教師種田順平なるものの後妻となった。時に光子は十九、種田は三十歳であった。
種田は初めの恋女房を失ってから、薄給な生活の前途に何の希望をも見ず、中年に近くに従って元気のない影のような人間になっていたが、旧友の遠藤に説きすすめられ、光子母子の金にふと心が迷って再婚をした。其時子供は生れたばかりで戸籍の手続もせずにあったので、遠藤は光子母子の籍を一緒に種田の家に移した。それ故後になって戸籍を見ると、種田夫婦は久しく内縁の関係をつづけていた後、長男が生れた為、初めて結婚入籍の手続をしたもののように思われる。
二年たって女の児が生れ、つづいて又男の児が生れた。
表向は長男で、実は光子の連子になる為年が丁年になった時、多年秘密の父から光子の手許に送られていた教育費が途絶えた。約束の年限が終ったばかりではない。実父は先年病死し、其夫人もまたつづいて世を去った故である。