Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

Lesen Sie 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.666 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

」

種田は笑いたいような、情ないような一種妙な顔をしたまま何とも言わない。

「立派な奥さんもお嬢さんもいらっしゃるんだし……。」

「いや、あんなもの。晩蒔でもこれから新生涯に入るんだ。」

「別居なさるの。」

「うむ。別居。むしろ離別さ。」

「だって、そうはいかないでしょう。なかなか。」

「だから、考えているんだ。乱暴でも何でもかまわない。一時姿を晦すんだな。そうすれば決裂の糸口がつくだろうと思うんだ。すみ子さん。明部屋のはなしが付かなければ、迷惑をかけても済まないから、僕は今夜だけ何処かで泊ろう。玉の井でも見物しよう。」

「先生。わたしもお話したいことがあるのよ。どうしようかと思って困ってる事があるのよ。今夜は寝ないで話をして下さらない。」

「この頃はじき夜があけるからね。」

「このあいだ横浜までドライブしたら、帰り道には明くなったわ。」

「あんたの身上話は、初めッから聞いたら、女中で僕の家へ来るまででも大変なものだろう。それから女給になってから、まだ先があるんだからな。」

「一晩じゃ足りないかも知れないわね。」

「全く……ははははは。」

一時寂としていた二階のどこやらから、男女の話声が聞え出した。