Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのついたかかと

火のついた踵

宮本 百合子

Lesen Sie 火のついた踵 (ひのついたかかと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.781 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

谷  (笑いもせず)いや、どう致しまして!

皆、笑い出す。

谷  で、どうなったんです? 来ないんですか!

みさ子 ええ、おやめになったの、いつか静かに二人きりで話したいからって。――(真面目に)あの方も近頃は、結婚問題や何かで、随分苦しんでいらっしゃるのよ。余り美しい方だもんで、却って、種々いやなこともおありになるのね。

谷  それで、結婚生活では、少くとも半年の先輩であるあなたに、指導を仰ぎたいという訳ですか?

みさ子 (谷の一種の調子には頓着せず)黙って独りで考えているよりは、私にでも話して相談して見たいとお思いになるらしいの。無理もないわ。――お父様だって、お母様だって、お金こそ沢山おありなさるけれど、随分変な方なんですもの……

英一 両親がそんなで、娘が評判の美人では、悲劇だね。

谷  我々が来るんじゃあ、しんみりしないからということになったんですね。

みさ子 まあ、そういうことね。――でも、(間)私、どうせ、御相談は受けても、それほど頼りになる決定なんか与えてあげられる処ではないと思っているわ。

英一 どうしてです?

谷  珍らしい弱音ですね。

みさ子 (二人を見)ほんとよ。