Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのついたかかと
火のついた踵
宮本 百合子
Lesen Sie 火のついた踵 (ひのついたかかと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.781 Zeichen · 34 Bildschirme
堪らないわ。
谷 (真面目になり)あなたの話しようが、ひどく抽象的だが、人間が純粋か不純粋かということが、第一の問題だということでしょう?
みさ子 そうね、そういうことになるでしょう。
谷 昔から、殴られても、実意のある亭主が好いというのは、そこでしょう。
みさ子 ――とにかく、厭なら厭、好いなら好いで、蕊に一点の曇もないような人があったら、どんなにいいでしょうね。言葉の奥を考えずに、そうと云っただけで安心していられるようだったら……
谷 (しげしげとみさ子を見る)あなたもだんだん大人になりますね。
みさ子 (片頬笑む)――だから、朝子さん、吉沢さんね。あの方のことだって、私が、何も権威あるらしい口は利けないのよ。お互に、学校の成績とか、手腕じゃあないわ。内の内の、内のものを、見極めなければならないんですもの。――各々の直覚、心の力と、運。ね?
谷 ところが、どれほど鋭い天稟(てんぴん)の直覚を持っていたって、多くの場合、日本の現在の状態では、その触角を動す余地さえ、ないじゃありませんか。いやしくも、わが心のエッセンスを凝(こら)して、その底までしみ入ろうとするような価値のあるサークルは、皆、煉瓦の塀で囲まれている。