Japanische Klassiker mit Furigana
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とうみょうのまき
灯明之巻
泉 鏡花
Lesen Sie 灯明之巻 (とうみょうのまき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.444 Zeichen · 47 Bildschirme
「やーい。」
「おーい。」
ヒュウ、ヒュウと幽に聞こえた。なぜか、その笛に魅せられて、少年等が、別の世、別の都、別の町、あやしきかくれ里へ攫われて行きそうで、悪酒に酔ったように、凡杯の胸は塞った。
自動車たるべきものが、スピイドを何とした。
茫然とした状して、運転手が、汚れた手袋の指の破れたのを凝と視ている。――掌に、銀貨が五六枚、キラキラと光ったのであった。
「――お爺さん、何だろうね。」
「…………」
「私も、運転手も、現に見たんだが。」
「さればなす……」
と、爺さんは、粉煙草を、三度ばかりに火皿の大きなのに撮み入れた。
……根太の抜けた、荒寺の庫裡に、炉の縁で。……
三
西明寺――もとこの寺は、松平氏が旧領石州から奉搬の伝来で、土地の町村に檀家がない。従って盆暮のつけ届け、早い話がおとむらい一つない。如法の貧地で、堂も庫裡も荒れ放題。いずれ旧藩中ばかりの石碑だが、苔を剥かねば、紋も分らぬ。その墓地の図面と、過去帳は、和尚が大切にしているが、あいにく留守。……
墓参のよしを聴いて爺さんが言ったのである。
「ほか寺の仏事の手伝いやら托鉢やらで、こちとら同様、細い煙を立てていなさるでなす。