Japanische Klassiker mit Furigana
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はいかぐら
灰神楽
江戸川 乱歩
Lesen Sie 灰神楽 (はいかぐら) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.262 Zeichen · 27 Bildschirme
さて、奥村二郎の家の、殺人の行われたその同じ部屋で、庄太郎と死者の弟の二郎とが相対していた。
「で、警察では加害者の見当がついているのかい」
一渡り悔みの挨拶が取交されてから、庄太郎はこんな風に切り出すのであった。
「さあどうだか」中学上級生の二郎は、あらわなる敵意を以って、相手の顔をじろじろ眺めながら答えた「多分駄目だろうと思う。だって証拠が一つもないんだからね。仮令疑わしい人間があるとしても、どうすることも出来ないさ」
「他殺は疑う余地がないらしいね」
「警察ではそう云っている」
「証拠が残っていないという話だが、この部屋は十分調べたのかしら」
「そりゃ無論だよ」
「誰かの本で読んだことがあるが、証拠というものは、どんな場合にでも残らない筈はない相だ。ただそれが人間の目で発見出来るか出来ないかが問題なのだ。例えば一人の男がこの部屋へ入って、何一つ品物を動かさないで出て行ったとする。そんな場合にも、少くとも畳の上の埃には、何等かの変化が起こっている筈だ。だから、とその本の著者が云うのだよ、綿密なる科学的検査によれば、どの様な巧妙な犯罪をも発見することが出来るって」