Japanische Klassiker mit Furigana
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ほのおのひと――ゴッホしょうでん――
炎の人――ゴッホ小伝――
三好 十郎
Lesen Sie 炎の人――ゴッホ小伝―― (ほのおのひと――ゴッホしょうでん――) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.035 Zeichen · 207 Bildschirme
畜生! ……(無意識に独語しながら、眼をギラギラ光らせて、モデルを見ている。モデルは動かないで「マルセーズ」を低くハミングしている)ねえ小父さん、その壁の、こっちのは、ウタマロだったね?
タン そうですよ、こっちがウタマロ。ウタマロ。そして、こっちがイロシゲだそうです。
ヴィン イロシゲ。……うむ。(唸って、その浮世絵を睨んでいる。不意に立ってツカツカと、その縁の前に行き、噛みつくように顔をくっつけて見て)どうしてこんな単純な、こんな深い色が出せるんだろう? え? この絵具は一体これは何だ? こんなに明るい、そして落ち着いた色は? え? ……日本へ行きたい。俺は日本へ行きたい。……(サッと自分のカンバスの所にもどって来て、自分の絵を睨む)……そう、落ち着きがない! ……たしかに、アルモニイがない。(唸っていたが不意に絵具箱から大きなパレット・ナイフを取り上げて、生がわきの画面をガスガスとけずり取ってしまう)
タン あ! なにをなさるんだ、ゴッホさん!
ヴィン フフ、なあに。初めから、やり直すんだ。小父さん、動いちゃ、いけない。(手早く、新しい絵具をパレットにしぼり出し、並べる)