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Japanische Klassiker mit Furigana

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むげつものがたり

無月物語

久生 十蘭

Lesen Sie 無月物語 (むげつものがたり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.485 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

泰文はでたらめな箴言に勿体をつけるつもりか、拍手をうって花世の女陰を拝んだり、御幣で腹を撫でたり、たわけのかぎりをつくしていたが、おいおい夏がかってくると、素ッ裸で邸じゅうを横行し、泉水で水を浴びてはすぐ二階へ上って行ったりした。泰文はよほどの善根をほどこしている気でいるらしく、いつもニコニコと上機嫌だったが、だんだん図に乗って、たぶん邪悪な興味から、裸の花世を北ノ坪へ連れて行き、菊燈台の灯をかきたてて、自分と娘のすることを現在の継母にちくいち見物させるようなことまでした。

花世と公子は地獄にいるような思いがしたことだったろう。こんな畜生道の穢にまみれるくらいなら、いっそ死んだほうがましだと思い、露見した場合の泰文の仕置も覚悟で、白川の邸で行なわれている浅間しい行態を日記にして上訴したが、そういうこともあろうかと泰文は抜け目なく手をうっておいたので、上書は三度とも念入りに泰文の手元へ送りかえされた。泰文が花世と公子をどんなむごい目にあわせたか想像するに難くないが、不幸な二人の女は、このうえ一日もこういう生活をつづけてゆくことに耐えられなくなり、泰文が死にでもするほか、この地獄からぬけだす方法がないと承知すると、二人で話しあって、ついに非常手段に及ぶ決心をしたのである。