Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
熱がひどく出ているらしい。彼はそれを測るために検温器を取ろうとした。だが、その検温器は彼の手から滑って床の上で真二つに折れてしまった。その瞬間、いままで窓の隙間から差しこんでくる月影だとばかり思っていたそこら中の沢山の斑点が、突然、彼の目に真赤に映った。そしてそれが本物の痰のように見えた。――おや、おれは何時の間にこんな血を吐いたのかしら?……彼は気味悪そうにそれから目をそらしながら、なんだかこのまま自分が死んで行くのではないかという気がされてならなかった。そうして彼は、今しがた夢の中で彼を苦しませたところの友人たちが、彼の死を知らせる電報を手にしたまま、さまざまに驚愕している有様を、一つ一つ病的な好奇心をもって描きはじめていた。……
彼がその何回目かの彼の「危機」から脱するためには、四週間たっぷりの絶対安静を要した。
六月に入ってから、或る日のこと、彼ははじめて露台に出ることを許された。彼は其処から見えるあらゆる樹木がすっかり若葉を出しているのに眺め入りながら、目が痒くなるのを我慢していた。それらの樹木の多くが白樺と落葉松であることを知ったのも殆どその時が始めてであった。