Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちのしゅっきょう
父の出郷
葛西 善蔵
Lesen Sie 父の出郷 (ちちのしゅっきょう) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.047 Zeichen · 18 Bildschirme
と、私は弟の顔を見ると泣いても訴えたい気持をそそられた。
「いや、そういうわけでしたらそれではFさんの方はそういうことにしましょうか。兄さんの方は後でまたゆっくりと方法を考えて、国へ帰るにしても旅へ出るにしても、とにかくあまりむりをなさらない方がいいでしょう」と言って弟は私の憔れた顔にちょっと視入ったが、
「それにしても、そういう気持が出るのも一つは病気のせいなんでしょうが、Kさんの時なんか今目を瞑るという間ぎわまでも死神だとか何だとかそんなことは言わなかったようですがねえ、そう言ってはなんでしょうが兄さんは少しその禅の方へ、凝ってるというわけでもないんでしょうが、多少頭を使いすぎるためもあるんじゃないでしょうか、私なんかには分りませんけど……」
「そんなことはないよ。禅とは別問題じゃないか。誰が禅みたいなあほらしいものに引かかって、自分の生きる死ぬるの大事なことを忘れる奴があるか!」と、私はムッとして声を励まして言ったが、多少図星を指された気がした。
「それではとにかく行李を詰めましょうか」と、弟はおとなしく起って、次ぎの室の押入れからFの行李を出してきた。