Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かたこい

片恋

芥川 竜之介

Lesen Sie 片恋 (かたこい) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.505 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

ざっと十年ぶりで、恋人にめぐり遇ったんだ。向うは写真だから、変らなかろうが、こっちはお徳が福竜になっている。そう思えば、可哀そうだよ。

「そうして、その木の所で、ちょいと立止って、こっちを向いて、帽子をとりながら、笑うんです。それが私に挨拶をするように見えるじゃありませんか。名前を知ってりゃ呼びたかった……」

呼んで見給え。気ちがいだと思われる。いくらYだって、まだ活動写真に惚れた芸者はいなかろう。

「そうすると、向うから、小さな女異人が一人歩いて来て、その人にかじりつくんです。弁士の話じゃ、これがその人の情婦なんですとさ。年をとっている癖に、大きな鳥の羽根なんぞを帽子につけて、いやらしいったらないんでしょう。」

お徳は妬けたんだ。それも写真にじゃないか。

(ここまで話すと、電車が品川へ来た。自分は新橋で下りる体である。それを知っている友だちは、語り完らない事を虞れるように、時々眼を窓の外へ投げながら、やや慌しい口調で、話しつづけた。)

それから、写真はいろいろな事があって、結局その男が巡査につかまる所でおしまいになるんだそうだ。何をしてつかまるんだか、お徳は詳しく話してくれたんだが、生憎今じゃ覚えていない。