Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こぶ
犬田卯短編集 一
犬田 卯
Lesen Sie 犬田卯短編集 一 (こぶ) von 犬田 卯 (いぬたしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.259 Zeichen · 96 Bildschirme
それだけにもう身体がふるえてきた。
「下駄で渡るんだ!」
とさぶちゃんは命令した。圭太は反抗するだけの勇気がなかった。否、あったとしても今の場合どう出来るであろうか。
彼は片手でしっかと鞄をかかえ、脚に力を入れて立ち上ろうとした。が、駄目だった。下を見ると遙か底の方で、青い水がくるくる、くるくると渦を巻いて流れている。ちょっとでも手を離そうものなら、ふらふらと、そのままその中へ落ちてしまいそうである。――実際、いつの間にか、自分の登っている欄干が、橋もろとも傾いて、すうっと上流の方へ走っているような気さえしてきた。
「何びくびくしているんだ。早く! 早く渡るんだ!」
さぶちゃんはぴしり圭太の尻をなぐりつけた。
「これくらい渡れないで日本男子だアねえぞ! やあい、貴様はチャンコロか露助か、この臆病奴!」
「渡れなけりゃ、今日一日そこに突っ立っているんだ、いいか。俺がついて番しててやる!」
さぶちゃんが言った。
もう学校は遅れようとしていた。誰一人通るものがなかった。隣村に下宿している一人の先生――それさえもう通ってしまったに相違ない。真っ直ぐな道を見渡しても、誰もやって来るものがなかった。