Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
人妻に生ませた城介の子供のことさ」
加納はしばらく黙っていた。艪を動かして、舳を風上に立てた。
「したね。あれはオルドス作戦に出発する時だった。城介君はわたしに、おれに万一のことがあったら、どこそこの家に行って、自分の最後のことを伝えて呉れ。そして子供の顔がおれに似ているかどうか確めて呉れと、地図と名前を書いてわたしに手渡したよ」
加納は伏目になったが、すぐに頭を反らした。
「しかしわたしはそれを焼いてしまった」
「いつ?」
「城介君が自殺をした時さ。彼と一緒に焼いてしまった。当人が自殺したのに、何も他人のわたしが確める必要はないと思ってね」
「その人妻の名は、何て言った?」
「もう忘れた。憶い出さない。勤めている先のお内儀さんと言うことは覚えているけれど」
「勤め先の?」
「そう。向うから誘惑されたらしい。そう彼は言っていたよ」
栄介は凝然として黙っていた。勤め先のと言えば、あの葬儀屋の女房に違いない。栄介が大学生の時金を借りに行くと、葬儀屋は無表情で女房を呼び、金を持って来させた。若い、と言ってもその頃三十前後だったが、肌のきれいな、笑うと笑くぼの出る、葬儀屋にはもったいないような美しい女であった。