Japanische Klassiker mit Furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
「どうだい。きれいな海だろう。東京じゃ見られないよ」
松原の向うに、冬の海が見えた。海は日光を反射して、きらきらと光っている。女の子は返事をしなかった。退屈しているらしく、小径を登ったり、かけ降りたりしていた。
(それが城介の娘だったというわけか)
栄介は子供をあまり好きでない。だからその子の顔もよく覚えていない。城介に似ているかどうか、注意すらしなかった。
それが栄介が内儀に会った最後である。内儀は娘と一緒に、別府の親戚の方に廻るというわけで、駅で別れた。
「あたし、近頃神経痛が出ましてね」
内儀は言った。
「半月ばかり別府で養生しようと思ってますのよ」
「娘? 女の子だったのかい?」
加納はびっくりしたように言った。指を折って数えた。
「するてえと、今生きてりゃ、二十五か六ぐらいだ。あの頃の自分らと大体同じ年頃だなあ」
「そういうことになるね」
「もう結婚して、子供が出来ているかも知れないね。すると城介君はお祖父さんというわけか」
加納はそう言って、ぼんやりした視線をスモッグの彼方の太陽に向けた。栄介もしばらく黙っていた。時間の経過の空虚さが、しみじみと胸に湧き上って来た。