Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme

Aozora Bunko

「ちょっと酔っぱらってるんだよ」

「今もさ、こんなこと、お前たちにゃ出来めえと、そんなつもりでやってんだ。あの与太学生ら!」

それは城介の邪推だと私は思った。彼は莨を地面に踏みにじり、のそりと立ち上った。本気でやるつもりだな。その時初めて判った。私はあわてて引きとめた。

「ほっときなよ、あんなの。殴ったって仕方がない」

彼は少時学生たちと吊橋の動きに眼を据えていた。私の手を振りはらって、いきなり斜面をかけ登った。

あっと言う間もなかった。二人は谷(と言っても三メートルほどのものだ)に突き落されて転落し、一人は腹を押えるようにしてうずくまった。橋の揺れがおさまるまで、城介は身構えたまま、三人の動きを監視している。女たちははげまし合うように、

「早く。早く!」

と呼び合いながら、雲か何かを踏むような足どりで、城介のいるたもとへ戻って来た。やはり烈しくゆすぶられて恐かったのであろう。するとあれは嬌声ではなく、今思うとほんとの悲鳴だったのかも知れない。転落した二人は服のほこりを払い、顔を見合わせながら、登っても一度闘おうかどうか、相談しているように見えた。しかし総じて彼等三人は、その動きからして、戦意を喪失していた。