Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme

Aozora Bunko

「いや。これは私事だから――」

栄介はあいまいな言い方をした。

「その探し主を、実は君の名にしてもらいたいんだよ」

「なぜ?」

「おれは新聞にあまり自分の名を出したくないんだ」

身勝手なことを言っている、と私は思ったが、念のために聞いてみた。

「この封筒の差出人って、誰だね?」

「加納と言って、城介の友達だ」

そして栄介はしばらく眼を閉じていた。どう説明しようかと、考えているらしい。やがて言った。説明ではなかった。

「どうだね。引受けて呉れるかい?」

「急ぐのか。十五日も待てないほど?」

「急ぎやしないがね。でも、なおってしまうと、おれも忙しくなるだろう」

栄介は皮肉な笑い声を立てた。

「暇なうちに、その男に会うか、手紙を出してみたいんだ。だから早いとこ、ことの続きやつながりを知りたいんだよ。君のようにね」

「君は暇過ぎるんだな」

家政婦が運んで来た紅茶をすすりながら、私は言った。

「じっとしている分には、痛くも何ともない。それなのに動けない」

彼はうなずいた。素直にうなずいた。

「外界に触れないから、考えがとかく後向きになりがちなんだ。まだ後向きになる齢じゃなかろう」