Japanische Klassiker mit Furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Lesen Sie 狂い凧 (くるいだこ) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.430 Zeichen · 226 Bildschirme
ただそれだけさ」
「猿みたいな好奇心だね」
「すると看護婦か女医か知らないが、女の声が出て来た。そして症状を教えて呉れた」
矢木の言葉を黙殺して、私は続けた。
「そのあと、あなたは誰だと聞くから、僕は正直に、偶然現場に居合わせた者だと答えたんだ」
受話器の声は言った。すこしあわてた声で。病院まで御足労願えないか。病院としてその状況を知りたいし、当人側もいろんな事情で目撃者を探している。おそらく自動車のことや、災害保険などについて、証言が欲しかったのだろう。
「で、病院に行ったのか?」
「いや。行かなかった」
私は答えた。
「車のナンバーも覚えてないし、僕の印象に残っているのは、狂い凧のような標識の動きと、畠に倒れた女の姿だけだからね。齢は三十前後で、かなり美人だった」
「美人なら見舞いに行ってやればよかったのに」
「しかし僕は証人になりたくて電話をかけたんじゃない。つながりを知りたかっただけだ」
私は電熱器のスイッチをとめた。
「それから二十日ほどして、また電話をしてみた。すると彼女は退院したあとだった。その後のことは知らない。知ろうと思えば知る事が出来る。女の住所もメモして置いたから」