Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうかしあかちょこべえ
狂歌師赤猪口兵衛
夢野 久作
Lesen Sie 狂歌師赤猪口兵衛 (きょうかしあかちょこべえ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.418 Zeichen · 79 Bildschirme
と十内は無念そうに唾液を嚥み込んで、眼をギョロリと光らした。
「……しかしその方は何か……その下手人について心当りでもあるかの……」
「ヘエ。それは在るどころでは御座いませんが」
「申して見い……」
「それが私の口からは申上げ兼ねまする名前で御座いまして……」
「余が役目柄を以て相尋ねる事じゃ。遠慮する事はない。申してみい」
「そ……それにつきましては只今、商売の歌を一つ詠みました。何卒お硯を拝借お許し下されませい」
「何、歌を詠んだ……」
松倉十内は不審の面もちで背後の矢立を取って与えた。
「これは……お手ずから恐れ入りまする」
赤猪口兵衛は腰に挿した渋団扇を一枚取ってサラサラと筆を揮って差出した。
「歌にはなっておりませんが、お心当りにはなりましょうと存じまして……」
受取った松倉十内は音読した。
「ふうむ。……まま母のままにしたさに粥殺し……とうふて近きは男女なりける……ふうむ。これは何の歌じゃ」
「この騒動の原因はと申しますると、意外な男と女との関係ごとから起ったに違いないと思いました私の見込みを申しましたので……」
「わからんのう。今些と平とう言うてみい」
「その歌の中の謎が二字ばかり足りません。