Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Lesen Sie 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.557 Zeichen · 426 Bildschirme

Aozora Bunko

私も小説家に生れたからには、あますところなくそういう美しさ、よろこび、光について描きたいことね。そういう美は、そのものとして切りはなされて在るのではなくて、全生活行動の強大な脈うつリズムとともにはじめて生命にあふれて表現されるのですから。その純潔な輝やかしさは、露のきらめきさながらね。

露のきらめきと云えば、前の手紙で、詩を見つけたことお話しいたしましたね。「わが園は」という題の作品なのよ。どちらかというと風変りなテーマです。ほんとはそれを書こうと思ったのに、つい、いづみ子の噂を先にしてしまったらもう七枚にもなりました。つづけて、然し、別の一通として書きましょう。好ちゃんのたよりはお目にかかって伺います、今あなたは手紙をお書けになれませんものね。呉々も体の動かしかたに御用心を。

八月二十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

八月二十七日

前ぶれの長かった「わが園は」の話いたします。テーマはいくらか風変りで、支那の詩にでもありそうな情趣です。

人気ない大きい屋敷の夏の午後です。しげり合った樹木の若葉は緑金色に輝やいて、午後はもう早くありません。