Japanische Klassiker mit Furigana
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げんかくさんぼう
玄鶴山房
Lesen Sie 玄鶴山房 (げんかくさんぼう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.434 Zeichen · 25 Bildschirme
さあ、お芳さんにおあやまりなさい、ちゃんと手をついておあやまりなさい。」
お芳はこう云うお鈴の前に文太郎と一しょに涙を流し、平あやまりにあやまる外はなかった。その又仲裁役を勤めるものは必ず看護婦の甲野だった。甲野は顔を赤めたお鈴を一生懸命に押し戻しながら、いつももう一人の人間の、――じっとこの騒ぎを聞いている玄鶴の心もちを想像し、内心には冷笑を浮かべていた。が、勿論そんな素ぶりは決して顔色にも見せたことはなかった。
けれども一家を不安にしたものは必しも子供の喧嘩ばかりではなかった。お芳は又いつの間にか何ごともあきらめ切ったらしいお鳥の嫉妬を煽っていた。尤もお鳥はお芳自身には一度も怨みなどを言ったことはなかった。(これは又五六年前、お芳がまだ女中部屋に寝起きしていた頃も同じだった。)が、全然関係のない重吉に何かと当り勝ちだった。重吉は勿論とり合わなかった。お鈴はそれを気の毒に思い、時々母の代りに詫びたりした。しかし彼は苦笑したぎり、「お前までヒステリイになっては困る」と話を反らせるのを常としていた。
甲野はお鳥の嫉妬にもやはり興味を感じていた。お鳥の嫉妬それ自身は勿論、彼女が重吉に当る気もちも甲野にははっきりとわかっていた。