Japanische Klassiker mit Furigana
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げんかくさんぼう
玄鶴山房
Lesen Sie 玄鶴山房 (げんかくさんぼう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.434 Zeichen · 25 Bildschirme
六
まだ?――しかし玄鶴は置き時計を見、彼是正午に近いことを知った。彼の心は一瞬間、ほっとしただけに明るかった。けれども又いつものように忽ち陰欝になって行った。彼は仰向けになったまま、彼自身の呼吸を数えていた。それは丁度何ものかに「今だぞ」とせかれている気もちだった。玄鶴はそっと褌を引き寄せ、彼の頭に巻きつけると、両手にぐっと引っぱるようにした。
そこへ丁度顔を出したのはまるまると着膨れた武夫だった。
「やあ、お爺さんがあんなことをしていらあ。」
武夫はこう囃しながら、一散に茶の間へ走って行った。
六
一週間ばかりたった後、玄鶴は家族たちに囲まれたまま、肺結核の為に絶命した。彼の告別式は盛大(!)だった。(唯、腰ぬけのお鳥だけはその式にも出る訣に行かなかった。)彼の家に集まった人々は重吉夫婦に悔みを述べた上、白い綸子に蔽われた彼の柩の前に焼香した。が、門を出る時には大抵彼のことを忘れていた。尤も彼の故朋輩だけは例外だったのに違いなかった。「あの爺さんも本望だったろう。若い妾も持っていれば、小金もためていたんだから。」――彼等は誰も同じようにこんなことばかり話し合っていた。