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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

わたくしは光栄という気持ちが浮ぶと同時に、何か企らみのある嫌な暖味がわたくしを襲うので思わず身慄いが出そうになるのでした。

ほのかに薫る香水の間から三日月のように笑い和めた眼が、世にも冷厳な、そうして刺すような鋭さでわたくしの表情を観察しているではございませんか。わたくしは子供ごゝろに脅えを感じながら、受けた感じの不快をそのまゝ卒直に身振りや表情に現すことは何か自分に損のように思いました。わたくしはあり丈の力を籠めて嬉しそうに笑い返すのに骨を折りました。どんな笑いでしたろう。さぞ醜いこましゃくれた笑いでしたでしょう。いま思い出しても、ひとり「あ」と叫ぶほど自己嫌悪に陥ります。すると夫人はしっかり握ったわたくしの腕と背の手を離して呉れるのでした。

けれども子供というものは仕方のないもので、この身慄いするほど嫌なお務めを今度もしなくてはならないのを直ぐ忘れて、また夫人に掻きつくのでした。また襲って来る象牙の面の頬ずり――

こういうことが四五回もあってお昼のご飯になりました。食堂と呼ばれる別の部屋でそこも昼に電灯がついていました。鏡板や食器棚などがあってまるで西洋料理店みたいな部屋でした。