Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うまれいずるなやみ

生まれいずる悩み

有島 武郎

Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

君は君で、私は私で、妙に寝つかれない一夜だった。踏まれても踏まれても、自然が与えた美妙な優しい心を失わない、失い得ない君の事を思った。仁王のようなたくましい君の肉体に、少女のように敏感な魂を見いだすのは、この上なく美しい事に私には思えた。君一人が人生の生活というものを明るくしているようにさえ思えた。そして私はだんだん私の仕事の事を考えた。どんなにもがいてみてもまだまだほんとうに自分の所有を見いだす事ができないで、ややもするとこじれた反抗や敵愾心から一時的な満足を求めたり、生活をゆがんで見る事に興味を得ようとしたりする心の貧しさ――それが私を無念がらせた。そしてその夜は、君のいかにも自然な大きな生長と、その生長に対して君が持つ無意識な謙譲と執着とが私の心に強い感激を起こさせた。

次の日の朝、こうしてはいられないと言って、君はあらしの中に帰りじたくをした。農場の男たちすらもう少し空模様を見てからにしろとしいて止めるのも聞かず、君は素足にかちんかちんに凍った兵隊長靴をはいて、黒い外套をしっかり着こんで土間に立った。北国の冬の日暮らしにはことさら客がなつかしまれるものだ。