Japanische Klassiker mit Furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme
彼らにはとにかくそういう生活をする事がそのまま生きる事なのだ。彼らはきれいさっぱりとあきらめをつけて、そういう生活の中に頭からはまり込んでいる。少しも疑ってはいない。それなのに君は絶えずいらいらして、目前の生活を疑い、それに安住する事ができないでいる。君は喜んで君の両親のために、君の家の苦しい生活のために、君のがんじょうな力強い肉体と精力とを提供している。君の父上のかりそめの風邪がなおって、しばらくぶりでいっしょに漁に出て、夕方になって家に帰って来てから、一家がむつまじくちゃぶ台のまわりを囲んで、暗い五燭の電燈の下で箸を取り上げる時、父上が珍しく木彫のような固い顔に微笑をたたえて、
「今夜ははあおまんまがうめえぞ」
と言って、飯茶わんをちょっと押しいただくように目八分に持ち上げるのを見る時なぞは、君はなんと言っても心から幸福を感ぜずにはいられない。君は目前の生活を決して悔やんでいるわけではないのだ。それにも係わらず、君は何かにつけてすぐ暗い心になってしまう。
「絵がかきたい」
君は寝ても起きても祈りのようにこの一つの望みを胸の奥深く大事にかきいだいているのだ。