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Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

「何となく俺には恐ろしい。碩寿翁様が相手だからな」

「と云ってうっちゃっては置かれないよ。……ここまで尾行て来た甲斐だってないよ」

「それにしてもどういうお考えから、碩寿翁様には飛騨などという、こんな山国へ来られたのだろう?」

「私達には関係はないよ。……襖をあけて覗いてごらんよ」

ここの部屋には燈火がなかった。

で、二人の男と女の、姿を見ることが出来なかった。

が、もし燈火があったならば、囁き合っている男と女が、夕暮時に柏屋の門へ、二挺の駕籠を並べてつけ、揃って奥へ通って行った、老人と若い美しい、女とであることが見て取れたであろう。

しかしそれにしても碩寿翁が、さっき方この部屋を覗いた時には、客がなかったはずである。

それだのに今は二人もいる。

これはどうしたことなのであろう?

思うに二人の男と女は、どこか別の部屋にいたのであったが、この時その部屋から忍び出て、この部屋へ潜入したのであろう。

と、この部屋へ一筋の、細い明るい光の縞が出来た。

男が襖をあけたので、隣りの部屋の行燈の火が、隙間から射して来たのであった。

「あッ」と、云う声が突然に起こった。