Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たはらしのはんざい

田原氏の犯罪

豊島 与志雄

Lesen Sie 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.957 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

然しああいうことは、もし店員全体に分ると悪い影響を及ぼすものだからね。」そして田原さんはじっと広田を見やった。「以後はよく注意してくれなくては困る。第一君は店の全部を取締る地位に在るではないか。その君自身が……いや僕はもうあのことに就いては何も云わない。君は十分悔悟している筈だから、ただ、このことだけはよく注意しておいて貰わなければならない。一度やったことは二度やり易いものだ。いいかね、一度行われたことは、後まで尾を引くものだ。それをよく考えておいてくれなくてはいけない。此度のことは君のためにいい修養だ。それを生かすか否かは全く君自身の力に在る。……僕の云うことは分ったろうね。」

広田は黙って顔を挙げた。頬の筋肉を痙攣さしていた。

「ただ無謀な考えを起さないようにし給え。」と田原さんは云い続けた。「君はまだ四十に間もある。君の生涯はこれからだ。そして大に店のために働いてくれ給え、店を自分の事業だと思ってね、いいかね。」

それから田原さんは、無雑作に紙幣を百円だけ其処に差出した。

「これは子供の病気に対する僕の心ばかりの見舞のものだ。取っておいてくれ給え。