Japanische Klassiker mit Furigana
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たはらしのはんざい
田原氏の犯罪
豊島 与志雄
Lesen Sie 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.957 Zeichen · 57 Bildschirme
と云われたまま、また向うを向いてしまわれました。私はその時、何だか大変悪いことをしたような気がして、何とも云えなかったのです。実際変な気がしたんです。」
「だってそれは何でもないことではありませんか。」
「ええ別に何でもないことですけれど、それでも……。」
重夫の心のうちには何か「何でもなくないこと」が在ったけれど、それが余りに漠然としているので口に出してははっきり云えなかった。
「だが変だと云えばお前さんも変ですね。」
「なぜです?」
「でも妙な考え方をするではありませんか。」
「然しお父さんの姿がそんな考え方をさせるんですから。」
「それでは二人共変なんですね。」
しげ子はそう云ってまた微笑みを洩らした。然し彼女もそれきり口を噤んで、庭の方を透し見るようにした。
東に面した庭には午後の日脚は軒に遮られて落ちてはいなかったが、それでも暑い日光の漲った空の反映を受けて、植込みの影の空気まで暑苦しく乾燥しているように思えた。木の葉がばさばさしている、植木鉢の土が乾き切っている、そして高地芝の間の飛石が如何にも白い。
「今年は暑そうですね。」と重夫がふと云い出した。