Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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がひつにいきるごじゅうねん

画筆に生きる五十年

上村 松園

Lesen Sie 画筆に生きる五十年 (がひつにいきるごじゅうねん) von 上村 松園 (うえむらしょうえん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.936 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

筆を持っている時が一番楽しく、貴く、神の心にピッタリ適っているような、大丈夫の心持でございます。絵三昧に入っているのであります。画壇の揉めごとも、対岸の火事を眺める気持がして、その渦中には入れません。この境地に入るまでには、人生には雨があり風があり、沈むばかりに船が傾くことがありますように、私もさまざまな艱難辛苦の時を経てまいりました。ある時は芸術的な行き詰まりに、ある時は人間的な悩みに、これほど苦しむなら生きているより死んだ方が、楽に違いないと本気で思ったことが、幾度もございました。そんな所を、幾度も通り抜けますと、人はほんとうに、強く強く生きられるものでございます。今思いますと、若い時の沢山の苦しみが積み重なり、一丸に融け合って、ことごとく芸術的に浄化されて、今の境地が作り出されたのではないかと思われてなりません。

私の心は一日中画のことでいっぱいです。夜は殊にそうでございます。私の一日のうちで、一番貴い時は、眠りに入る前の四、五十分の時です。若い時から私は床に入ると、新聞か雑誌をちょっと見なくては眠れない習慣があります。しばらく、読んでいると、眠気がさして来る。